WordPressを利用してWebサイトを運営する際、サイトの規模が大きくなるにつれて複数人で管理を行う機会が増えていきます。

2026年現在、Webサイトのセキュリティ対策はこれまで以上に重要視されており、適切なユーザー管理はサイトを守るための第一歩と言えます。

一人の管理者がすべての作業を行うのではなく、役割に応じて権限を分散させることで、誤操作や不正アクセスのリスクを大幅に軽減することが可能です。

本記事では、WordPressで新しいユーザーを追加する具体的な手順と、標準で用意されている5つの権限グループの違いについて詳しく解説します。

設定方法を正しく理解し、効率的かつ安全なサイト運営を目指しましょう。

WordPressのユーザー管理が重要な理由

WordPressは、世界中で最も利用されているコンテンツ管理システム(CMS)の一つです。

その利便性の高さから多くのユーザーに支持されていますが、それゆえに攻撃の対象になりやすいという側面も持っています。

もしすべての作業者に最高権限である「管理者」を与えてしまうと、万が一アカウント情報が漏洩した際にサイト全体が乗っ取られる恐れがあります。

また、操作に慣れていないスタッフが誤って重要な設定を変更したり、記事を削除してしまったりするトラブルも想定されます。

こうしたリスクを回避するためには、「必要な人に、必要な分だけの権限を与える」という原則を守ることが不可欠です。

WordPressには標準で複数の権限グループが用意されており、これを活用することで作業範囲を明確に分けることができます。

サイト運営の効率化とセキュリティの向上を両立させるために、ユーザー管理の基本をマスターしましょう。

WordPressでユーザーを新規追加する手順

まずは、WordPressの管理画面から新しいユーザーを追加する具体的な流れを確認していきましょう。

1. ユーザー一覧画面へアクセスする

WordPressの管理画面にログインした後、左側のサイドメニューを確認してください。

メニューの中にある「ユーザー」という項目にマウスを合わせ、表示されるサブメニューから「新規追加」をクリックします。

すでにユーザー一覧画面を開いている場合は、画面上部にある「新規追加」ボタンからも移動することが可能です。

2. ユーザー情報の入力

新規追加画面が表示されたら、追加するユーザーの情報を入力していきます。

入力項目には「必須」と書かれたものと、任意で入力するものがあります。

以下の項目を順番に埋めていきましょう。

  • ユーザー名(必須):ログイン時に使用する名前で、後から変更することはできません。
  • メールアドレス(必須):システムからの通知やパスワードのリセットに使用されます。
  • 名:ユーザーの本名(名)を入力します(任意)。
  • 姓:ユーザーの本名(姓)を入力します(任意)。
  • サイト:ユーザーに関連するWebサイトURLがあれば入力します(任意)。
  • 言語:管理画面の表示言語を個別に設定できます。
  • パスワード:強力なパスワードが自動生成されますが、手動で設定することも可能です。

ユーザー名はセキュリティの観点から「admin」や「site-admin」などの推測されやすい名前は避けるようにしてください。

また、パスワードについても可能な限り複雑なものを設定することが推奨されます。

3. 権限グループの選択と保存

項目の最後にある「権限グループ」のドロップダウンメニューから、そのユーザーに付与する権限を選択します。

この選択を間違えると、作業に必要な機能が使えなかったり、逆に権限を与えすぎたりすることになるため注意が必要です。

各権限グループの詳細については、後述するセクションで詳しく解説します。

最後に「新規ユーザーを追加」ボタンをクリックすれば、ユーザーの作成は完了です。

「新規ユーザーに通知メールを送信」にチェックを入れておけば、設定したメールアドレス宛にログイン情報の案内が自動的に送信されます。

WordPressの5つの権限グループの違い

WordPressには、デフォルトで5つの権限グループが用意されています。

それぞれの権限で「できること」と「できないこと」を正確に把握しておくことが、適切な運用への近道です。

ここでは、各グループの特徴を権限の強い順に説明します。

管理者(Administrator)

管理者は、サイト内のすべての機能にアクセスできる最高権限を持っています。

記事の投稿や編集はもちろん、プラグインのインストールや削除、テーマの変更、サイトの基本設定など、あらゆる操作が可能です。

さらに、他のユーザーの追加や削除、権限の変更もこの管理者のみが行えます。

非常に強力な権限であるため、管理者のアカウントを持つ人数は最小限に絞ることが強く推奨されます。

基本的にはサイトオーナーや、サイトの全体管理を担当する主担当者のみが持つべき権限です。

編集者(Editor)

編集者は、コンテンツ管理に関する幅広い権限を持つグループです。

自分の書いた記事だけでなく、他のユーザーが作成した記事や固定ページの編集・公開・削除が可能です。

また、コメントの管理やカテゴリーの編集、タグの管理といった作業も行えます。

ただし、サイトのデザイン変更(テーマ)やプラグインの管理、他のユーザー設定などの「サイト全体の根幹に関わる設定」は操作できません。

編集チームのリーダーや、外部ライターの原稿をチェック・校閲する担当者に適しています。

投稿者(Author)

投稿者は、自分自身の記事を管理するための権限を持っています。

自分の記事の作成、編集、そして「公開」までを単独で行うことができます。

また、画像のアップロードなどのメディアライブラリの利用も可能です。

しかし、他人の記事を編集したり、固定ページを作成したりすることはできません。

信頼できるライターや、自社のブログ担当者などで、上長の承認なしに記事を公開しても問題ない場合に割り当てます。

寄稿者(Contributor)

寄稿者は、記事の作成と編集のみができる権限です。

大きな特徴は、「自分一人では記事を公開できない」という点にあります。

執筆した記事は「レビュー待ち」の状態になり、公開するには編集者や管理者の承認が必要となります。

また、デフォルトの状態ではメディア(画像)のアップロードも許可されていません。

外部のゲストライターや、記事公開前に必ず内容のチェックを行いたい新人担当者に最適な権限です。

購読者(Subscriber)

購読者は、最も権限が限定されたグループです。

基本的に記事の執筆や編集といった管理業務は一切行えません。

できることは、自分のプロフィール情報の編集と、ログインが必要な限定コンテンツの閲覧のみです。

会員制サイトや、コメント投稿にログインを必須としているサイトなどで、一般ユーザー向けに利用されることが多い権限です。

権限グループ別機能比較表

各権限グループができることを表にまとめました。

機能管理者編集者投稿者寄稿者購読者
サイト基本設定××××
プラグイン・テーマ××××
他人の記事編集×××
記事の公開××
メディアのアップ××

状況別:おすすめの権限設定パターン

実際のサイト運営において、どのように権限を使い分けるべきか具体的なケースを想定して紹介します。

外部のライターに記事執筆を依頼する場合

外部のライターに直接WordPressへ入稿してもらう場合は、「寄稿者」権限が最も安全です。

寄稿者であれば、勝手に記事を公開される心配がなく、公開前に必ず内容をチェックできます。

もしライターに画像の選定やアップロードまで任せたい場合は、プラグインを使って寄稿者にメディア権限を追加するか、信頼関係を築いた上で「投稿者」へ昇格させることを検討しましょう。

社内の複数スタッフで運営する場合

社内のチームで運営しているなら、役割を明確に分けるのがポイントです。

コンテンツの最終責任を負うマネージャークラスには「編集者」権限を付与します。

日々記事を書くスタッフには「投稿者」権限を与えることで、スムーズな更新作業が可能になります。

制作会社などにサイトの保守を依頼している場合を除き、日常的な業務で「管理者」権限を常用するのは避けるのが無難です。

サイトのデザインやシステム改修を外注する場合

外部のエンジニアやWeb制作会社にカスタマイズを依頼する際は、どうしても「管理者」権限が必要になります。

テーマの編集やプラグインの調整には、管理権限が不可欠だからです。

ただし、作業が終わった後もずっと管理権限を放置しておくのはセキュリティ上好ましくありません。

「作業期間中のみアカウントを有効にする」や「完了後は権限を下げる」といった運用ルールを決めておきましょう。

ユーザー管理におけるセキュリティの注意点

ユーザーを追加できる利便性の裏には、必ずセキュリティのリスクが伴います。

安全な運営を継続するために、以下のポイントを徹底してください。

パスワードの使い回しを避ける

追加したユーザーが他のサービスと同じパスワードを使い回していると、そこから不正アクセスの被害に遭う可能性があります。

ユーザーを追加する際は、WordPressが推奨する「強力なパスワード」をそのまま使用するように伝えましょう。

また、定期的なパスワードの変更を促すことも効果的です。

2要素認証(2FA)の導入

2026年のWebセキュリティにおいて、パスワードだけの認証は不十分とされています。

プラグインなどを導入して、スマートフォンアプリでの認証を組み合わせた「2要素認証」を必須にすることを強くおすすめします。

これにより、万が一パスワードが盗まれても、物理的なデバイスがない限りログインされることはありません。

定期的なユーザー一覧の監査

「現在は関わっていない外部ライター」や「すでに退職したスタッフ」のアカウントが残ったままになっていませんか。

不要なアカウントは、攻撃者にとって格好の侵入口となります。

月に一度はユーザー一覧を確認し、不要なアカウントは削除するか、無効化する習慣をつけましょう。

削除する際、そのユーザーが書いた記事がある場合は、他の現役ユーザーに所有権を移行することを忘れないでください。

ユーザー追加ができない時のチェックリスト

手順通りに進めてもうまくいかない場合は、以下の点を確認してみてください。

  • 権限の不足:操作しているあなた自身のアカウントに「管理者」権限があるか確認してください。
  • メールアドレスの重複:すでに登録されているメールアドレスで別のユーザーを作ることはできません。
  • ブラウザのキャッシュ:設定が反映されない場合は、一度キャッシュをクリアするか、シークレットモードで試してください。
  • プラグインの影響:セキュリティ系プラグインが新規ユーザー作成を制限している場合があります。

まとめ

WordPressのユーザー追加は、正しい手順と権限グループの知識さえあれば決して難しい作業ではありません。

「管理者」「編集者」「投稿者」「寄稿者」「購読者」という5つの役割を適切に使い分けることが、サイトの健全な運営には不可欠です。

権限を最小限に抑えることは、作業スタッフを守ることにも繋がります。

今回ご紹介した手順をもとに、まずは現在のユーザー設定を見直し、最適なチーム体制を整えてみてください。

適切なユーザー管理を行い、2026年のWeb環境でも安心して運用できるサイトを構築していきましょう。