WordPressを利用する多くのユーザーにとって、記事作成画面の使い心地は日々の運用効率を左右する極めて重要な要素です。
かつての標準であった「クラシックエディタ」は、Microsoft Wordのような直感的な操作感で、長らく多くのブロガーやサイト運営者に愛されてきました。
しかし、現在は「ブロックエディタ(Gutenberg)」が標準となり、クラシックエディタは公式プラグインによるサポートという形で存続しています。
2026年現在、このクラシックエディタがいつまで利用可能なのか、そして使い続けることにどのような利点と欠点があるのかを詳しく解説します。
クラシックエディタのサポート期間と2026年現在の状況
WordPress公式サイトは、クラシックエディタプラグインのサポートを「必要な限り継続する」と発表しています。
当初、公式サポートは2021年末まで、その後2022年、さらには2024年までと段階的に延長されてきた経緯があります。
2026年現在においても、プラグインのリポジトリでは定期的なメンテナンスが行われており、セキュリティアップデートも継続されています。
しかし、開発の主軸は完全にブロックエディタへと移行しており、クラシックエディタに新機能が追加されることは期待できません。
現状では、多くの古い商用サイトや、独自のカスタマイズを施したサイトがクラシックエディタを必要としているため、急激な廃止は考えにくい状況です。
それでも、WordPress本体のコアシステムが劇的に変化する中で、プラグインの互換性を維持することが徐々に難しくなっている点には注意が必要です。
クラシックエディタを使い続ける3つの大きなメリット
最新のブロックエディタが普及した現在でも、あえてクラシックエディタを選好するユーザーは少なくありません。
1. 執筆スピードと直感的な操作性
文章作成を主体とするユーザーにとって、クラシックエディタのシンプルな構造は大きな魅力です。
ブロックごとに要素を追加する手間がなく、流れるようにテキストを入力できる点が最大のメリットと言えるでしょう。
ショートカットキーの活用や、従来のツールバーによる装飾に慣れている場合、執筆効率は依然としてクラシックエディタの方が高いケースがあります。
2. 既存のカスタマイズやプラグインとの親和性
長年運用しているWebサイトでは、クラシックエディタに最適化されたカスタムフィールドや独自プラグインを多用していることがあります。
ブロックエディタに移行することで、これらの機能が正常に動作しなくなったり、表示が崩れたりするリスクは無視できません。
特に、企業サイトの管理画面を高度にカスタマイズしている場合、クラシックエディタを維持することで余計な改修コストを抑えることが可能です。
3. HTML編集のしやすさ
テキストモードに切り替えることで、ソースコードを直接編集する際の自由度が高いのも特徴です。
ブロックエディタでもHTML編集は可能ですが、独自のコメントタグが挿入されるなど、コードが煩雑になりやすい傾向があります。
シンプルなHTML構造を好むコーダーや開発者にとって、クラシックエディタは依然として制御しやすいツールと言えます。
クラシックエディタを使い続けるデメリットと潜在的リスク
一方で、古い仕組みを使い続けることには相応のデメリットも存在します。
1. WordPress最新機能の恩恵を受けられない
現在のWordPressは「フルサイト編集(FSE)」へと舵を切っており、サイト全体のデザインをブロックで管理する仕組みが標準化されています。
クラシックエディタを使用していると、こうした最新のレイアウト機能やデザインパーツのライブラリを活用することができません。
サイトの表現力が制限され、競合サイトと比較してデザインが古臭くなってしまう可能性もあります。
2. セキュリティと互換性の懸念
公式のメンテナンスが続いているとはいえ、あくまで「維持」を目的としたものです。
将来的にPHPのバージョンアップやWordPress本体のメジャーアップデートにより、予期せぬ不具合が発生するリスクは年々高まっています。
特に新しいサードパーティ製プラグインは、ブロックエディタでの動作を前提に開発されているため、クラシックエディタ環境では正常に機能しないことが増えています。
3. パフォーマンスとアクセシビリティの欠如
ブロックエディタは、出力されるHTMLのアクセシビリティ(読み上げ機能への対応など)が強化されています。
クラシックエディタではユーザーが手動で構造を整える必要がありますが、ブロックエディタなら自動的に最適なマークアップが生成される仕組みが進んでいます。
また、最新のテーマではブロックエディタ専用の軽量なCSSを採用していることが多く、クラシックエディタを使うことでサイトの読み込み速度に悪影響を及ぼす場合もあります。
2026年版:クラシックエディタを使い続ける具体的な方法
依然としてクラシックエディタが必要な場合、いくつかの導入方法があります。
公式プラグイン「Classic Editor」を使用する
最も一般的で安全な方法は、公式が提供するClassic Editorプラグインをインストールすることです。
設定画面から「すべてのユーザーに対してブロックエディタを無効にする」か、あるいは「ユーザーごとにエディタを選択可能にする」かを選べます。
既存の記事はクラシックで、新規記事はブロックで書くといった使い分けも可能です。
プラグイン「Disable Gutenberg」を使用する
より詳細な制御を行いたい場合は、Disable Gutenbergというプラグインが便利です。
特定の投稿タイプや、特定のユーザー権限に対してのみクラシックエディタを適用するといった柔軟な設定が可能です。
コードを使用して機能を無効化する(上級者向け)
プラグインを増やしたくない場合は、テーマのfunctions.phpにコードを記述することでブロックエディタを無効化できます。
以下のコードを記述することで、サイト全体でブロックエディタ(Gutenberg)をオフにし、クラシックな編集画面を呼び出すことができます。
// ブロックエディタ(Gutenberg)を完全に無効化する
add_filter('use_block_editor_for_post', '__return_false', 10);
// ウィジェット編集画面のブロックエディタを無効化する
add_filter('use_widgets_block_editor', '__return_false');
このコードを適用すると、管理画面の投稿一覧から「編集」をクリックした際、従来のクラシックエディタが立ち上がります。
クラシックエディタとブロックエディタの比較表
それぞれの特性を理解するために、主要な項目で比較を行いました。
| 項目 | クラシックエディタ | ブロックエディタ |
|---|---|---|
| 操作感 | ワープロソフトに近い(シンプル) | パーツを組み合わせる(柔軟) |
| レイアウト自由度 | 低い(HTML/CSSの知識が必要) | 高い(ノーコードで多段組みが可能) |
| 表示速度(管理画面) | 非常に高速 | やや重い(改善傾向にある) |
| 将来性 | 不透明(維持のみ) | 非常に高い(WordPressの標準) |
| モバイル編集 | やや困難 | 最適化されている |
ブロックエディタへの移行を検討すべきタイミング
いつまでもクラシックエディタを使い続けることは、Webサイトの成長を阻害する要因になり得ます。
特に、サイトのフルリニューアルを行うタイミングは、ブロックエディタへ完全移行する絶好のチャンスです。
最新のWordPressテーマ(ブロックテーマ)は、ブロックエディタを使用することを前提に設計されており、SEO対策や表示速度の面で非常に有利です。
最初は操作に戸惑うかもしれませんが、一度慣れてしまえば、表の作成やカラム分け、SNSの埋め込みなどが驚くほどスムーズになります。
まずは特定のカテゴリーや、テストサイトでの記事作成からブロックエディタに触れていくことをおすすめします。
まとめ
2026年現在も、クラシックエディタは公式プラグインやコードの追加によって利用し続けることが可能です。
執筆スピードの維持や、既存システムの互換性を守るという点において、クラシックエディタには確かな価値があります。
しかし、WordPressの進化の恩恵を最大限に受けるためには、徐々にブロックエディタへの移行を準備していく必要があります。
当面はクラシックエディタを使いつつも、最新のブロックエディタが提供する機能性を検証し、自分のサイトに最適な選択肢を見極めてください。
セキュリティと利便性のバランスを考慮しながら、無理のない範囲で最新の編集環境へとステップアップしていくことが、長期的なサイト運営の成功につながります。
